子供・女性の鼠径ヘルニア
子供・女性の鼠径ヘルニア(脱腸)が増えています
子供の鼠径ヘルニア(脱腸)
子供の鼠径ヘルニア(脱腸)も少なくありません。むしろ、子供の方が多いと考える事の方が自然です。
子供の鼠径ヘルニア(脱腸)は、お腹の膜から睾丸が外側に移動するための通り道が塞がっていないときに、お腹の圧が高くなって腸などが飛び出すものです。幼児期であれば、このお腹の膜を縫うことで閉じてしまう手術が一般的です。成人の治療として紹介しているメッシュプラグやクーゲルパッチを使った手術は、成長過程で違和感、異物感となるので子どもには一般的には行われておりません。基本は縫い合わせる手術です。時間も数十分で終わると考えて下さい。
子供の鼠径ヘルニア(脱腸)で、“スポーツヘルニア”という言葉を耳にしたことがありませんか?インターネットで検索すると、そけい部の痛みについて書かれている記事が出てきます。その中でスポーツの特殊な運動によって、関節の痛みがそけい部に発生するという記事があります。このスポーツヘルニア(そけい部痛症候群)と鼠径ヘルニア(脱腸)は全くの別ものです。
ここでテーマになっているそけいヘルニアの場合は、そけい部がふくらんでいるかどうかがひとつの目安であると考えます。しかし、常に膨らんでいない場合は、どのような運動をするとそけい部の痛みが発生するのかを考えるべきです。腹筋を激しく使う運動の場合、吹奏楽などお腹に力が入る事も原因となり脱腸になることも考えられます。
スポーツヘルニアとの違いは、お腹の膜から腸が外に出ている(出そう)ということがポイントです。激しい運動、重いもの持ち上げるなど様々なきっかけでそけいヘルニアになることがあります。 当院では、様々な症例から適切な診断を行い、スポーツにも差し支えのない手術を行うことが可能です。気になることが有りましたら受診をお勧めいたします。
女性の鼠径ヘルニア(脱腸)
女性は比較的少ないと言われている鼠径ヘルニア(脱腸)ですが、当クリニックでは2割近くの症例が女性です。女性も鼠径ヘルニア(脱腸)になりますが、男性と比べて鼠径ヘルニア(脱腸)になる年齢層が異なります。男性は、50~60歳代が圧倒的に多く、女性は20~40歳代と脱腸になり、60歳代は少ないのが男性との違いです。また、女性の鼠径ヘルニア(脱腸)では、男性に比べて緊急手術になる割合が高く、確定診断が付けば手術を検討されることをお奨めします。これは、より狭いところから腸管などの組織が飛び出す大腿ヘルニアの発症が女性に多いことからも言えます。
女性の鼠径ヘルニア(脱腸)治療では、妊娠を考慮することが大きなポイントになります。 妊娠を考慮する場合の治療には、メッシュプラグやクーゲルパッチは向いていません。パッチを体内に入れる事によって妊娠時に違和感が発生する場合があるからです。通常の腹膜を縫い合わせる手術を第一選択に行います。パッチを使った手術と比較して、少し突っ張った感覚が残りますが自然に治ってきます。多くの症例から適切な治療を行うという考えで、安心して手術を受けていただけます。
女性の場合は、受診されるまでいろいろな疑いを感じながらも鼠径ヘルニア(脱腸)と診断されるまで婦人科で診察を受けられたりする場合があります。 特に生理が重い、子供がなかなか出来ないなどの婦人科の病気かと思われる方は、診断が付くまで婦人科を何度も受診されるといったケースを耳にします。また、女性の患者さまで恥ずかしさを感じる方も少なくありません。それは当然のことと思います。当クリニックでは、日帰り手術を専門に学んだ、DSコーディネーターの女性スタッフが患者さまの気持ちになって極力恥ずかしさを感じないよう 配慮いたしております。