臍ヘルニアとは
Umbilical Hernia
臍ヘルニアについて
臍ヘルニアは、おへそが飛び出る疾患で、俗に言う”出べそ”のことです。
2歳児くらいまでの幼児であれば、身体の発育によって自然に治まることも多いのですが、成人の臍ヘルニアは鼠径ヘルニアと比べると嵌頓の可能性が高く早期に手術することが必要です。当院では、最適な手術方法をエコー・CTによる術前診断により、日帰り手術から1泊入院手術が可能です。
臍ヘルニアとは?
臍ヘルニアとは、「おへそ」が大きく膨らむ状態のことをいいます。おへそは、おなかの筋肉が弱い部分であり、そこに腹膜を介して腸などの内臓が脱出する状態を臍ヘルニアといいます。いわゆる「でべそ」のことで、大人の臍ヘルニアでは脱出した臓器が血流障害を起こす、いわゆる嵌頓になることがあり、激しい痛みを起こすことがあります。一方、幼児の臍ヘルニアは、2 歳くらいまでに筋肉が発達して自然治癒することも多い疾患です。
膨らみは、立った時、咳・くしゃみ、排便時などの腹圧がかかった時に大きくなることが多いです。大人の臍ヘルニアは、女性が多い傾向がありましたが、近年のデータでは生活習慣による肥満が大きな要因の一つになっており、男性も多くなっています。
※肥満の定義・・・肥満度の判定には、国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]が用いられています。BMI25以上のものが肥満と定義づけられております。日本では年間に7千人弱の方が臍ヘルニアの手術を受けています。
臍ヘルニアの診断は?
問診の後、仰向けに横になった状態で診察します。超音波検査(エコー検査)とCT検査を行い、ヘルニア門の大きさや出入りする臓器を診断します。
臍ヘルニアの治療
治療は手術によってヘルニア門を塞ぎます。大きさによりヘルニア門を糸で縫い合わせて閉鎖する方法や、人工補強材(メッシュ)を使用して、ヘルニア門全体を広く覆いヘルニア門を閉鎖する方法を行います。この方法はヘルニア門を縫い合わせる方法と比較して再発が少ないとされています。
当院では、患者さまの既往歴、画像情報、病態等から最適な手術方法を選択しております。腹腔鏡手術でお腹の内側からヘルニア門全体に人工補強材を覆う手術(腹腔鏡下臍ヘルニア修復術)も行っています。
全身麻酔で約30~40分の手術で入院は日帰り~1泊となります。
当院で行っている手術は?
当院で行っている臍ヘルニアに対する手術について説明します。
麻酔について
手術は全身麻酔により、患者様を痛みやストレスから守ります。
全身麻酔は、手術中の記憶はなく、手術の途中で麻酔が醒めることはありません。
手術方法について
*患者様の病状により手術手順や方法が異なる場合があります
- 弱くなった部分(ヘルニア門)の皮膚切開ヘルニア門の大きさに合わせて皮膚切開を行います。
皮膚切開の長さの目安は、ヘルニア門の大きさ(直径)プラス数cmです。 - 人工物(メッシュ)の留置ヘルニア門の大きさなどから、最適な部位にメッシュを留置します。
メッシュは、ヘルニア門の大きさ・部位により、数種類の中から選んで使用します。
臍ヘルニアの主な合併症は?
皮下出血
術後の皮下の出血により、キズの周囲の皮膚が紫色に変色することがあります。血液をサラサラにするお薬を内服している患者様に多い合併症です。
創部違和感・硬結
メッシュが身体に馴染む間での期間(術後2〜6ヶ月間)、キズに違和感を感じることがありますが徐々に軽快します。また、キズが固くなることがありますが、キズが治る過程で心配ありません。
感染(創部感染・メッシュ感染)
手術創部(キズ)の感染は、軽症であれば内服薬・外用薬で軽快します。メッシュ感染を起した場合は、再手術等が必要となる場合があります。
臓器損傷
癒着が強い場合、術中に腸管や血管を傷つけてしまう場合があります。
臍ヘルニアの入院期間
入院(日帰り・1泊)
術後経過が順調な場合、当日もしくは術後1泊の入院で退院が可能となります。退院後、日常の動きに制限はありませんが、気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。
単純縫合閉鎖術
当院ではヘルニア門(穴の大きさ)が10mm以下で、肝疾患・糖尿病・肥満といった再発因子のない症例を適応としています。
人工筋膜(メッシュ)修復術
当院では生体親和性のある、チタンコーティングされたメッシュを第1選択に、単純縫合適応外の臍ヘルニアの治療に行っております。
女性の単純縫合が多いのは、美容的な観点から早期に受診されるケースが多く、臍ヘルニアの初期症状で治療を行うためです。
NDBオープンデータでは、男性より女性のほうが手術件数が1.5倍多いですが、高度肥満による腹圧上昇が原因の症例が増え、男性の臍ヘルニアも増加すると考えられます。
※NDBオープンデータ・・・NDB(National Database)とは、医療機関を受診した際に、医療機関から保険者に対して発行される診療報酬明細書からなるデータベースである。厚生労働省は、これを2016年から公開しています。
受診の流れ
月曜日から土曜日に臍ヘルニア外来を開設しています。外来にて診察後に手術の必要性がある場合は、手術前検査を行います。
受診の予約・お問い合わせは
03-3235-9939 へお願いします。
1初診のご予約
初診のご予約はお電話(03-3235-9939)で承ります(Eメールでのご予約はできません)。問診票記入、診察後に腹部超音波検査・CT検査を行います。手術を予約する方は、血液検査、心電図検査、レントゲン検査を行います。すべての検査が終了した後、担当医が治療方針の説明を行います。
2入院・手術
手術当日の午前中に入院していただきます。
手術前処置(臍処置など)を行い、午後から手術開始となります。(手術時間は約30~40分です)
3退院
手術当日の午前中に入院していただきます。
手術当日もしくは、翌朝の退院となります。
4術後診察
1泊入院の場合は手術後1週間後、2週間後、日帰り手術の場合は手術後翌日、1週間後、2週間後に来院していただき、手術部位のチェックなどを行います。
その後の受診については患者様と相談の上、決めさせていただきます。