陰嚢水腫とは
Scrotal Hydrocele
Scrotal Hydrocele
陰嚢水腫は精巣(睾丸)を包む膜(鞘膜といいます)の中に液体が溜まり、陰嚢が膨らんだ状態になる病気です。
鼠径ヘルニアが原因の場合がありますが、多くは原因不明です。何れの場合でも、根治するためには手術が必要となります。
陰嚢の腫大(膨らんだ状態)を心配して受診することが多いです。通常痛みはありませんが、陰嚢が腫れることで不快感や違和感が出てきます。
問診と視診・触診のあと、透光性(腫瘤にペンライトを押し当てると提灯のように光が透過する)が確認されれば陰嚢水瘤の可能性が高く、陰嚢、鼠径部の超音波検査(エコー検査)で、鞘膜腔への均一な液体の貯留があれば陰嚢水腫の診断になります。日帰り手術を受けられる場合には、CT検査を行い、他の病気(鼠径ヘルニアや精巣腫瘍)がないことを確認します。
[左]黒い内臓脂肪がお腹の中(腹腔内)から陰嚢に向って脱出している。
⇒右鼠径ヘルニア
[右]灰色の液体成分が陰嚢に溜まっている。
⇒右陰嚢水腫
黒い内臓脂肪がお腹の中から陰嚢に向って脱出している。
⇒右鼠径ヘルニア
灰色の液体成分が陰嚢に溜まっている。
⇒右陰嚢水腫
陰嚢に溜まった液体を注射器で抜く方法がありますが、効果は一時的です。根本的な治療には手術が必要です。
静脈麻酔(点滴薬による麻酔)により、患者様が眠っている間に手術が行われる状態にします。不安や恐怖を感じないように意識を無くして眠ってもらい、手術中の記憶はなく手術の途中で麻酔が醒めることはありません。
所要時間20〜30分
① 水腫の大きさによって陰嚢の皮膚を3〜4cm切開します。
② 水腫壁(鞘膜)を切開して、溜まった内容液を排出します。
① 水腫の大きさによって陰嚢の皮膚を3〜4cm切開します。
② 水腫壁(鞘膜)を切開して、溜まった内容液を排出します。
③ 水腫壁を必要に応じて切除します。
④ 水腫壁を反転縫合し、内容液が溜らないようにして手術終了です。
③ 水腫壁を必要に応じて切除します。
④ 水腫壁を反転縫合し、内容液が溜らないようにして手術終了です。
陰嚢の皮膚は体の他の部分と比較してキズの治りが良くないことが多く、術後にキズから少量の出血を生じることがあります。多くの場合は自然に止まりますが、血液をサラサラにするお薬を内服している患者様の場合は再縫合が必要になります。
キズの痛みや違和感が生じます。内服の痛み止めで徐々に軽快していきます。また、キズが腫れて固くなることがありますが、キズが治る過程の現象ですので心配ありません。
キズの感染は、軽症であれば内服薬・外用薬で軽快します。糖尿病の患者様に多い合併症です。
術中・術後経過が順調な場合、術後30分程で離床ができます。その後問題がなければ、術後2時間程で退院が可能です。退院後は室内での日常の動きに制限はありませんが、気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。
術後の診察は、術後1週間目と2週間目になります。
術中・術後経過が順調な場合、術後30分程で離床ができます。手術当日の夕食は通常食となります。入院中は夜勤看護師が定期的に病室に巡回いたします。
退院は翌朝8:30になります。退院後は日常の動きに制限はありませんが、気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。
術後の診察は、術後1週間目と2週間目になります。
Q自宅で創部(キズ)の処置は必要ですか?
A1日1回(シャワー後)のガーゼ交換をして頂きます。1週間後の診察までお願いします。
Q就労について?
Aデスクワークでしたら手術翌日から可能です。
重労働や長時間の運転業務等については、術後1週間目の診察後より可能です。
Q術後の運動は?
A運動は術後1週間お待ち頂きます。
Qシャワー・入浴について?
Aシャワーは可能です。浴槽に長くお入りになるのは、次回診察までお控えください。
Q術後の性機能に影響はありませんか?
A手術によって、勃起機能や射精機能が下がることはありません。
Qその他日常生活の注意点は?
A退院日より日常の動きに制限はありません。階段の昇降や散歩等も可能です。気分不快や創部の痛みが生じたときは休憩を取るようにしてください。
分からないこと、相談したいこと、お気軽にお問合せください。